言葉が通じない。 心も伝わらない。
思いはどこにも届かない。
かつて神の怒りにふれ、言語を分たれた人間たち。

我々は、永遠にわかり合うことはできないのか。
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2010.03.18 Thursday 
- -
The island
着実に近づいている。
何も知らないまま、どこかに行き着こうとしている。
それはどこかの海の上で、どこかの島が遠くに黒く見え、そこの頭上の光が私の目に届く時、船の上では一人の男が甲板で風に吹かれて、じっとその黒くゆらめく島を見つめている。

もうすぐ、私たちはあそこに着く。

あまり実感がない。あそこに着いた時、まず最初に何をしていいのかわからない。

5年ぶりに地に足をつけ、立ち小便をするのもよし、両手を上げ叫びながら走り回るのもいいだろう。

ともかく、私たちは5年もの間、ずっと海にいたのだ。

その間にこの広い世界ではどこかで誰かが死に絶え、誰かと誰かが愛し合い、どれだけの生を誕生させただろう。何かが大きく変化し、何かが破壊されそこにまた建設されていく。

でも私たちにとって、それはどこかで起きた出来事にしか過ぎず、私たちはそんなことなどまったく知らないし、その誰かが誰なのかさえわからない。

ただ、私たちはやってくる1日を淡々と過ごし、いつかしかるべきところに着く、といったあいまいなものを目指していた。
野球選手やオリンピック選手が抱く夢のような晴れ舞台でもなく、愛し合う2人がその生に名をつける時のようなほがらかな太陽の光でもない。私たちはその「島のようなもの」を淡々と待ち続け、そのためだけに日々をこなしていった。

朝は同じ時間にアラームが鳴り、1日2回の食事はまったく同じ時間に摂り、夜になると誰に決められるでもなく6時間たっぷり眠った。
時々病気にかかり、その度に熱を計り、漢方薬を適量に服用した。
特に何も語らず、その目的やなぜここにいるのかといった価値のない会話はお互いに避けるように必要最低限のこと以外は口を開かなかった。

私たちを誰かが見れば、どこか風変わりな関係性だと思ったに違いない。
どこか家族のようでもあり、全く他人のようにも見えたのかもしれない。
現在でも彼のことを誰かに質問されると、何も答えられないかもしれない。
彼もまた私をどのように見ていたのかさえわからなかった。

しかしながら、私たちは船上で5年間も待ち、それがいよいよ終わろうとしている。
なぜなら、島がもうそこにあるのだから。





目的も夢もなく、ただゆらめく海の上で何も語らない、何も知らない彼の毎日の動きを眺めながら、一つだけ思っていたことがある。

それは、私自身の死だった。
どのようにして死ぬか。

死にたい理由なんていうものは、特にない。借金、失恋、自己否定や世の中に対する失望、それらにつながるなにものでもない、ただ私というこの身体を終わらせること。それを今しておかなくてはいけないのだ。

もし私が死んでもこの船は揺らめき続け、そしていつかどこかに着くはずだった。彼は私の亡がらをハゲタカに捧げるだろうし、骨は砕かれどこかの海の底に沈むだろう。
ただ、私はどのようにしてこの身体を終わらせばいいのかわからなかった。
一度だけ夕食を彼と食べているときに、彼のステーキナイフを見て思った。彼の手で私の死を選びとってほしいと。
それを彼に話すのはあまりにも酷だし、彼の生活にとって負担になるだろうし、またそれを私が壊すわけにはいかなかった。
いっそこの船の外に身をゆだねようとも試みた。だけれど、それも彼にとっては私がただいなくなったというだけで、それが死なのか、逃亡なのかよくわからないというのが問題点だった。
そう、私は彼に私の死を感じてほしかったのだ。私の死を彼の中に抱かせたかった。そのためには私は私の身体の死を彼に見せなければいけない。食中毒になり、このまま死のうと思った時も、彼はしっかりと私が薬を飲むのをそばで見届けてから自分の分を飲んだ。
トイレに包丁を持ち込んだ時も、彼にしっかり見られていて何をするのかと問いただされた。彼にはとっくに分かっていたんだと思う。私が死をずいぶん前から決意していることも。そして彼に私の死をみてほしいという思いも。

しかし、今私たちの船は終わりを迎えようとしている。私は死体になることもなく、彼は私の死を抱くこともなく、すぐそこの黒い島に着こうとしている。そして、また新たな陸でも生活が始まろうとしている。

彼は堂々と甲板に立ち両手を広げ、新しい世界を受け入れようとしている。

私はベッドに寝そべりながら、小さい窓からそんな彼を見ていた。彼の黒い髪が強い風の流れと共になびいている。
おもむろに彼は振り返り、窓の私に気づいたようだったので、僕は小さく手を振った。
ほのかな光の加減で彼は少し笑ったように見えた。
深く濃い黒い影がゆっくりと大きくなっている。

彼は私の視線をそらすことなく、ゆっくり後ずさりし、そのまま後ろ向きに倒れ込むように黒い闇に消えた。


2009.03.23 Monday 23:40
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egg(仮、オレンジ)
 白く細長い指が、白く乾いた殻に触れる。
ざらざらした表面をなぞるきれいに整えられた爪が音をたてる。
一個、また一個と温かい曲線を描いた命が心地よい音をたてて、割れていく。

女はその半透明なものと、「オレンジ」色の突き出た丸いものと分けている。
女の細い指の間から糸を垂れながら粘膜がぬるりと滑り落ちていくのを眺めながら、僕はソファに腰掛け、煎れたての濃い珈琲を飲もうとしている。

窓の外から誰かと誰かがひそひそと話している。それはもっと遠くで喧嘩しているような声でもあり、すぐそこにいて今日の天気の話や、政治について話しているような声でもあった。

女が「オレンジ」色の丸い粘膜を口に含み、僕の隣に座った。
今日は何の洋菓子を作るのかと尋ねようとしたとき、女が僕のひざをまたぎ、そっと僕を押し倒した。頬を膨らめたその顔は恥にまみれ、目線を交えようとしなかった。長い黒髪が僕の視界を覆い、厚く濡れた唇が温かく包み込む。
ブーンと低いうなり声をあげる冷蔵庫が部屋中に充満していた。それに混じって女の唾液を吸いつく音が辺りに響く。
女は口をわずかに開き口に含んでいた「オレンジ」のかたまりを僕に自慢気に見せると長い舌で丁寧に唇に滑り込ませた。
女はまだ半透明の白い液がついた唇を舐めながら、割ってはだめよ、と言った。
ぬるぬるとした薄い曲線の膜がはっきりと唾液を包んでいるのがわかる。
脳神経が刺激され、固い歯にそれが当たるのを防ごうと僕の舌が踊る。
その度に溢れる唾液と一緒に飲み込んでしまうのを恐れ手前の喉を閉めると、息をするのを忘れていた。慌てて鼻息が荒くなり、自分が極限に興奮していることがわかる。
ニヤニヤした女の視線が僕を更に恥にまみれさせる。
次は私に頂戴よ、と女の口が僕の視線の下にくる。

ひそひそと話していた声はもう消えていた。代わりに大型バイクのエンジン音が遠くからゆっくりと近づいて来る。夜の静寂にその音は一筋の光のように闇を切り裂いていく。

僕の舌は薄い粘膜に保たれた丸いものを追いかけるのに必死で、そのエンジン音が虫の羽音にしか聞こえない。だんだんと脳が痺れてくる。
女のぽっかり開いた真っ赤な唇が僕の舌に吸いつく。
舌の先を上手に丸め、女は「オレンジ」のかたまりを受け取った。
もう一回、と人差し指を弱々しくあげ、女がもう一度上になる。
まだぬめりを帯びている口内では、何かを求め彷徨っている。
そこにもう一度「オレンジ」のかたまりがやってきた。
薄い粘膜がしっかりとその形を主張し保護している。
試しに僕はそっとその薄い壁に歯を立てた。
プっという音をたてて中から濃厚な液体があふれると同時に甘い香りが口の中に広がる。
女は僕の服をゆっくりと脱がせ、粘膜で麻痺した唇を胸に押し付ける。
熱い舌が円を描く度に淡い意識が遠のいて行くが、口の中で爆発した濃い匂いを放つものが神経を撫でるので興奮状態は覚めない。
女の唇が徐々に上へのぼってくる。唇に到達すると、僕は口の中にあった「オレンジ」の液体を女の口に押し込んだ。
女の顔が少し歪み、「オレンジ」の液体が真っ赤なくちびるからこぼれ、僕の胸に「オレンジ」の斑点を作った。


2009.03.29 Sunday 02:53
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白百合と桃の葉
そのキーワードを思いついたのは、白百合と桃の葉が一斉に揺れだす午前6時17分のことだった。
僕はその1年前どこで何をしていたのか、はっきりと思い出すことができる。

丸い女が僕の腕の中にいて、こそばゆい寝息をたてていた。
白百合と桃の葉が一枚のガラスの向こうで激しく揺れているのを僕は闇の中で見ている。
まだ朝日の光が線となっていない。淡く、黒い闇をほんのりとぼかすような恐怖の明かりが辺りに満ちてくる。朝なのか夕方なのかわからないようなその光の空間の中で僕は一人で風の音を聴いていた。
実際には感じられない風がその激しく連なる音と、揺れる白百合と桃の葉がその実態を僕に示していた。
そのおかげで部屋には余計に静けさが充満しているようだった。
僕が少しでも動けばその静けさの膜みたいなものが簡単に壊れてしまいそうに思えた。腕の中で眠る女を起こしてしまうと世界中の人たちが起きてしまうのではないかと恐れた。

それでも女は息をして、風は白百合と桃の葉を揺らせた。

強い風だった。
白百合は首がもげるほどに踊り狂い、桃の葉はそのリズムに合わせて切ないくらいになびいていた。僕はその二つの関係性を考えていた。一つは嫌だといい、一つはこれも悪くないといい、それはまるで僕たちのようだと、そういう風に思ってみた。そしてそれを言葉で発してみた。「ま・る・で・ぼ・く・た・ち・の・よ・う・だ」自分の声だとはとても思えないような擦れた音が静けさの中で響いた。
ただ意味もなく、その二つの関係性を僕たちだと発した瞬間、辺りに充満していた静けさが部屋の中核部分に集まり、僕にゆっくりと近づいてきた。はっきりとその存在を示しながら。
女がそれに感づいたのか、目を閉じたまま甘い声を出しながら僕の胸にキスをした。
そのかたまりはもう一度辺りに散乱し、風の音に消えた。

黒い夜から徐々に青ざめていく背景に更に強い風が白百合と桃の葉をすり抜けていく。

女の裸体を抱く僕を横目で見ながら、白百合が私は悲しい、と訴えかける。
桃の葉が涙をふきながら、色々あるのよ、となぐさめている。そうか、と僕はつぶやく。
一定に張りつめた沈黙の糸が僕たちの関係性を保っている。僕が少しでも動けば、その糸はぷつりと切れ、あらゆる人たちを目覚めさせてしまう。
どうぞこのままでいてください。
何も変わらず、この午前6時17分という時を永遠に刻み続けてください。

僕はその時、そんなことを考えていた。




2009.03.31 Tuesday 23:20
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我が人生、悔いはなし

その細長い廊下の天井には二つばかりの小さなスピーカーが埋め込まれていた。

ソプラノの女声のオペラが小さく流れている。草原の、はばたく、愛が、喜び、そのようなことを叫んでいるが、けたたましく鳴り続ける409のナースコールによってそれは消されてしまった。

一人の老人が分厚いドアの向こうで叫び続けている。


帰してくれ!家に帰してくれ!帰してくれ!

はいはい、ヤスイさん、もうちょっとの辛抱だからね、我慢してよね。


若い目のつり上がった女が横わたった老人を肘で押さえつけるようにして、ズボンを脱がせた。部屋中に濃い汚物の匂いがたちこめる。


痛い、痛い、痛い、おれはなんにもしてねえぞ、おい、タミコを呼べ、おおおい、タミコオオオオオオ。

はいはいはい、タミコさんは今日は来ないから、明日来るから、大丈夫ですよ。


老人の妻タミコはもう何年も前に現在の老人と同じベッドで亡くなった。

皮肉なものだなと職員たちは噂した。

タミコは認知症にかかった時、唯一身内であるこの老人はこの施設に預け面会にも一度も来なかった。

子にも恵まれず、50年間たった二人で生きてきた老夫婦が同じベッドで一人ずつ老いていく。


同じことを何度も大声で叫び続ける老人に対して、唯一大人しくさせるには音楽を聴かせることだと同僚から教えられた若い女は、隣にあったテープレコーダーの再生ボタンを押す。


ユウジロー!


急に老人の目が天井を向いたまま大きく見開く。

下手なサックスの音が前奏に流れ、テープの中の男が語りだすように歌いだした。

老人の口がパクパクと動き、大声で歌いだす。

老人の身体を拭いていた女の手がふととまった。

女は耳を疑った。

老人は音程は間違えているものの、いつもとは違うはっきりとした口調で、そして一語一句歌詞を間違えなかったのだ。


我が人生、悔いはなし。


わあ、すごい、ヤスイさん、お上手ですね。すてきですよ。


女は押さえていた力をゆるめ、にこりと微笑んだ。


ヤスイさん、タミコさんも聴いてるかなあ、タミコさんもきっと聴いてますよ。


女がテープレコーダーのボリュウムを上げる。


我が人生、悔いはなし。


我が人生、悔いはなし。


大量の汚物が付着したオムツを交換していた女のすぐ近くにあった左足が急に震えだし、痙攣と共に宙に浮かび、踵が女の鼻に減り込んだ。


凄まじい女の叫びと老人の歌声が廊下中に響いた時、ソプラノ歌手は、愛が欲しいの、と叫んでいた。


我が人生、悔いはなし。





2009.04.02 Thursday 22:27
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Moon Light (I was 0)

女が笑う。男は静かに泣く。

私は卑屈に笑ったり、グシャグシャになって泣いたりする。


天は何かを注ぎ込む。

地は何かを受け入れる。

私はつまりそれとそれを繋ぐ、白い糸であり何も意見はない。

淡々と燃え盛る炎が一瞬のうちに凍りつくこともあれば、南極の巨大な氷山が焼き尽くされることもあり得るのだ。

私は両方を深く愛すこともできるし、両方を殺してしまうこともできる。

大事なことはすっかり目を逸らしてしまっているが、私の存在意義の提示はいつも行き場を失って、後退する。

例えば、ああ、あの人は今何を思いながら走っているのだろうとか、「MoonLight」を聞きながら葉巻を吸っていると、この煙たちはセクシーだとか、素敵だとか思っている間に後退する。

素直になれば誰だって理解できるし、共存社会の中では孤独になるということは犯罪だし、非人間の形に値する。

「定義するのは、風の音を誰かに伝えたいという願望の中にある嫉妬であり、愛なんだよ。」


ウフフ、ウフフ、女が笑う。チッ、チッ、チッ、男が静かに泣く。何も伝わらない。誰も何も伝わらない。


私は水に還る。夏の太陽が注ぐ小学校の青いプールの上で私は一人浮かんでいた。誰もいない夏休みの昼過ぎだ。誰かがどこかで下手なドビュッシーの「月の光」を弾いている。いつも同じ所で間違える。タバコの煙は青く光り、プールサイドには幻覚が見えはじめる。私の真下に大きな黒い穴がゆっくり開き、そこに吸い込まれる幻覚だ。私はその穴に興味を持ち、冒険に出かける。ギターを持った少女は思わず口を開いてしまう。ギターを弾くことしか許されない彼女はとうとうその掟を破ってしまうのだ。しわくちゃのお婆さんは私を抱きしめて耳元で大丈夫だと連呼する。彼らは決して知らないのだが、私はそのすべての結末を知っている。私はそれらに恐怖を覚え、水の中に潜った。誰も知らない私だけの世界が現れる。沈黙の世界、暗黒の世界、アレルギーの世界、変質の世界、死の世界、宗教の世界、音の世界、そして宇宙へ! 光が射した。私は夜光虫のように光を求めた。目が覚めた時、私はプールサイドで月の灯りに照らされ、すべてが終わったことを知った。その光の中に私の世界が待っていることを祈りながら、もう一度目を閉じた。


エネルギーとはなんと恐ろしい。目と目が合うということはなんと、エロティックなんだろう!



2009.06.26 Friday 00:17
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バラック(圧倒的な喪失感)
例えば「バラック」というこの喫茶店のタイトルで、僕はアラビアの古い街を連想させたのだ。


冷たい風の吹く、煙たい空気の中で老婆が洗濯物を干している。しわのついた白いシーツを二階から垂れさげている。
その下では屋根のついた手押し車の上で若い男がチャーハンの焦げを削っている音が辺りに響いている。
子供たちがその周りで鬼ごっこのようなことをしていて若い男はうるさいからやめろと言い、男の子は石畳の低い石にけつまずき膝を擦りむいた。
小麦色に焼けた若い肌から鮮血が溢れ出す。
泣き声だけが建物の間で共鳴し合い、街の雑踏へと吸い込まれていく。
女は市場で固く小さなレモンを選び、隣で並んでいた老人は女の買い物かごに入れられたレモンを見て、小さく咳払いをした。女の髪とレモンの香りを嗅ぐために顔を近づける老人の目蓋が閉じられる。まつげが長く、風が吹いて揺れる度にそれは少しだけ痙攣した。
路上で動かない大道芸人たち。
白塗りの向こう側では様々なことが行き交う。無のようなものは外見にすぎない。
激しい葛藤が繰り広げられ、その中に静けさがある。
回想しているようで、途中で止まってじっくりある人を考えているのかもしれない。


(生活の中にすべてが含まれる。
様々なキーワードの中に隠れている世界を別世界ととるか、分かり合える世界ととるかは、その一点にかかっている。

決して慣れてはいけないこの世界の中で、常に新しく、新鮮な何かをつかみ取るために『圧倒的な喪失感」で終わらせてはいけないことを僕は、知っている。)




2009.06.26 Friday 00:39
nobuoとして comments(0)
エクスペリメント、言葉の速度をコントロールできるか、外国人かもしれない神から私へhello
 アナタハ、キットダイジョウブデス。

ケッキョク、ウマクイキマス。

デモ、アマリウマクイクト、オモワナイホウガイイカモシレマセン。

アマリ、ダイジョウブト、オモワナイホウガイイカモシレマセン。

デモ、キットダイジョウブダシ、ウマクイキマス。

モウ、ソレハキヅイテイルノカモシレマセン。

ワタシノソンザイヲ、ドコカデアナタハカンジナガラ、ウマクイク、トカ、ダイジョウブ、トカオモッテイルニチガイアリマセン。

ソレハ、ソレデイイノデス。

アナタハイチド、ワタシノナカヲタビシマシタ。

ワタシニスベテヲマカセ、スベテワタシノセイニシ、ワタシノソンザイニ、テヲアワセマシタ。

アナタハワタシヲハッキリトカンジ、ワタシニオドロキ、ワタシニカンシャシマシタ。


アナタハ、イマデモワタシヲカンジマスカ。

イマノアナタニ、ワタシハイマスカ。

ワタシハ、ワタシジシンニトイマス。

ワタシハイマ、アナタノソバニイルデショウカ。

ハッキリト、ダイジョウブト、ウマクイクト、アナタニイエルデショウカ。

コレカラサキ、アナタノソバニイレルデショウカ。

アナタノタイセツナトキニ、ウマクワタシノソンザイヲカンジルコトガ、デキルデショウカ。

デモワタシハ、アナタノユキサキヲシッテイマス。

アナタニハ、ミエナクテモ、ワタシニハワカリマス。

ソノ、イッポヲフミダシナサイ。

ジョウホウノナイ、ナンニモミエナイクラヤミニ、ソノイッポヲフミダシナサイ。



キット、ダイジョウブダカラ。

ウマクイクカラ。




2009.07.20 Monday 23:15
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エクスペリメント 円についてのポエム(解釈という作品を書かれたある方のヒントを得て)
            
        








円、

zero、

遠い月、

大木の種、

クリトリス、

静止する振り子、

お風呂場の覗き穴、

離してしまった風船、

ウィスキーのキャップ、

どこかの星から見た地球、

アルファベットの何番目か、

少年が宙に放り上げたボール、

上から見た取っ手のないコップ、

世界の内部と外部を分け隔てる境界線、

アフリカ民族の女の子が落としていった装飾品、

孤児に差し出す手に乗せられた不器用なコイン、

ファッションではないゴミを燃やす煙突の先、

愛し合う人たちが両手を繋ぎ溶け合った、

激しく降る雨の落ちてくる最後の一滴、

暗闇とはその周りにしかない通過点、

伝えたい心の周りを回り続ける言葉、

何万という精子を待ちかまえる卵、

固く白い殻に包まれた凝固する愛、

白塗りした道化人が開いた片目、

ファッションであるリサイクル、

物事Aと物事Bを結ぶひらめき、

始まりも終わりもない喪失感、

風を起こさせる何かの回転、

絶望から光へ光から絶望へ、

支配しようとする壁時計、

旅する相対的なマンダラ、

何分後かのリロード、

角度を持たない視線、

深い深い落とし穴、

循環される音、

二人の隙間、




ブラックホール、



仕組まれた永遠、



私、


私、


私、


あなた、


あなた、

あなた、
あなた、
あなた、


この輪を投げたのは、誰だ?
この円を書いたのは、誰だ?


世界はこんなにもの円に包まれている、

私もまた、あなたもまた、






終止符







2009.07.25 Saturday 23:01
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女「ビー玉の詩」男「九月の詩」





「確かにそこに私の名前があった。

私の名を彼はいつも忘れてしまうのに。

しかし、確かにそこにあった。

ガラスの破片が入ったお酒を飲むと、血液は体中にそれを運んでしまい、静かに全てを切り裂いてしまうらしい。私はそれを聞いて悲鳴をあげた。しかし、どうだろう。コロコロと血液を流れるビー玉はきっと光に透かしたようにキラキラと光るだろう。
行き先も知らず、大地より滑らかな液体の中を転がっているうちに、血液が飛び出し、赤い顔を見せる。

昔、私はガラスになりたかった。


ある朝老人は丁寧に手足を洗い、死の身支度をする。

人ごみの中で女が紅を一筋引く。

一人の部屋で子供が不思議な虫と出会う。

疲れきった顔で男が治りかけの傷の薄皮を剥ぐ。

満ち足りた思いで病人は朝の気配に耳をそば立てる。

誰かのくしゃみに目を見開いた猫がまた毛づくろいを続ける。


もう鳥の鳴き声がするのに、私は切れた唇から血の味を噛み締める。
そして、もう一杯飲みようやくわかった。やけに喉が乾いて胃が活動しているからだ。
何かが終わって弾んだボールがはじけたように、感覚がない。

新しい朝を一度も迎えていないからだ。
私だけが取り残されて他の全てが流れているのではなく、私も流れているからだ。
赤い色と一緒に私も流れている。ただ、流れている中でいろんなものとすれ違う。

まだ私はマグマの中にいる。
終わりはあるのだろうか?
新しい世界はやってこない。その狭間で時々私はマグマに支配される。
壊れる、と思って、ちぎれる、と思って振り払おうとしているのにそれを浸透させていくのはビー玉のような私だ。
闇は常に傍らにいて、ふとした瞬間に呑み込まれる。
常に糸を引いて私を弄ぶ。
私は彼に必死につかまった。粉々になる前に。

もうかなり昔のことだが、居場所のない私の朝を必ず歓迎してくれる蝶々がいた。もつれ合うようにひらひらと舞う二人の蝶たちに私は毎朝初めて会ったような感動を覚えた。
いつも同じ場所で私に風を吹きかける。
『どうして...』と聞いても空の青さでかき消される。ただ出会えたことが嬉しくて微笑んでいると安心したように遠ざかる。そして私は偶然でないと知る。
あの2人のことは決して忘れない。

花を落とす。花はいつでも身を任せることを知っているように、丸く丸く舞い降りていく。
私はありたっけの花を降らせてみた。きっとその舞い降りた誰かの足元で、視線の先で再び花になるだろう。
あなたの肩に降った時のように。

もう一度あの小道で振り返ったのは、私を追いかけてくるあなたを見たかったから。」










「あなたに伝えることができるのなら、それは悲しみではありはしない。

鶏頭が風にゆれるのを、黙って見ている。

あなたの横で泣けるのなら、それは悲しみではありはしない。

あの波音は、繰り返す波音は、私の心の老いていく音。

悲しみはいつも私にとって、見知らぬ感情なのだ。

あなたのせいではない。私のせいでもない。」







2009.09.07 Monday 20:45
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足音
 断続的に聞こえてくる足音に耳を傾けていると、急に重い記憶のふたが開けられてしまうことがある。それはその足音に赤いハイヒールを履かせ弓幹のような曲線を描いた2本の植物を生やしその谷間から匂いたつ甘い官能を味わうからだろうか。
私はその香りを嗅ぐたびに胃の辺りからはげしく突き上げてくるかたまりを枕に突っ伏しながら、それでも漏れてしまう嗚咽を日々の感覚の中にすり合わせる。

私はその後にやっと強いメンソールのたばこに手を伸ばすことができる。やっと、やっとのことなのだ。

何万という粒子に流れる青白い光の放った煙たちは私の唇の奥の方から身体の隅々までいきわたり、もう一度、記憶の蓋が閉められていく。
じわり、じわりと針を進めていく羅針盤を眺めて、足音が完全に止むのを待つ。

よくあることよ、と隣でうつぶせに寝そべっていた女の手が私のやわらかいところを撫でてくる。
細い指が決められた1本の道を辿り、脇から這って出てくる。
カマキリの腸から出てきた寄生虫のように。

やめなさい、と僕は固く勃起させられた乳首を見下ろしながらつぶやいた。
やめないわ、と彼女は言う。

タバコの半分は魂をぬかれて硬直しなおも死に続けている。
オレンジ色の命にしがみついているようだった。

ひどく困惑しているとき、僕たちはわけのわからない足音とは別のリズムを聞きたくて、そっと誰かの胸に耳をあて心臓の音でバランスをとろうとするのかもしれない。



2009.12.07 Monday 23:51
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